二十七八
191 の例文
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「宜しく頼みますよ、錢形の」 平四郎はさすがに打ち萎れて居りますが、仕事が繁多なので、そのまゝ役所の方へ出かけて了ひました。新造のお君は二十七八の美い女で、男女二人の母親とも見えぬ若さです。
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銀次はそれから後、商売にばかり身を入れて一歩も家を出ないせいか、見る見る色が白くなって、役者のようないい男になって来た。自分では三十二と云っていたが、二十七八ぐらいにしか見えなかった。切れ上った眥と高い鼻筋が時代めいて、どことなく苦味の利いた細長い顔が、暗い店の中からニッコリして出て来ると、男でもオヤと思う位だったので、大袈裟な意味でなしに直方中の女という女の評判になって来たものであったが、それでも銀次は固い人間と見えて、遊びに行くフリも見せなかった。
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それは映画俳優にでもありそうな立派な男で、年は二十七八にもなろうか。
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明治二十七八年の頃K市の県立中学校に新しい英語の先生が赴任して来た。此の先生が当時の他の先生達に比較してあらゆる点で異彩を放つて居た。
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上海の海底電信局とかへ転任になつて、赴任の途中だといつて居た。私は始めて見たのであるが、森本は二十七八の色の白い美い男であつた。金縁の眼鏡をかけ、髪を綺麗に分けて居た。
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年の頃は二十七八、どうかしたらもう少し老けてゐるかも知れません。眉の長い、眼の深い、少し淺黒い素顏も、よく通つた鼻筋もこればかりは紅を含んだやうな赤い唇も、あまり街では見かけたことのない種類の美しさです。
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そんな例を挙げると数限りもないが、その中で最も極端な例を挙げるとこんなのがある。日比谷公園のバラックの中に、子供二人を持った二十七八の婦人があった。彼女は職業に就て二人の子を育てていたが、如何にも心もとない結果、五円を奮発して結婚媒介所の門を潜った。
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「御心配は無用です」と赤星探偵はやさしく言いましたが、何を考えたものか、彼は黒い眼鏡を外し、長髪に手をかけて引張ると、それはするりと彼の手の中に丸めこまれました。そこには晴々しい笑顔をうかべた二十七八歳と思われる青年の顔がありました。それはどこやら覚えのある顔でした。
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二十七八だが、死ぬと、人間の首ってものは、十ぐらい齢をとるんだ。
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二十七八歳、むっつりした好青年で、何んとなく重厚な感じがあります。内燃機関の特殊な研究者で論文さえ出せば、何時でも博士号がもらえるという人物、その研究の助けを仮りて唐船男爵の経営して居る会社が、夥しい利益を占めて居るという噂もあります。
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桂離宮の玄関前とか、大徳寺真珠庵の方丈の庭とかは、その代表的なものと言ってよい。嵯峨の臨川寺の本堂前も、二十七八年前からそういう苔庭になっている。こういう杉苔は、四季を通じて鮮やかな緑の色調を持ち続け、いつも柔らかそうにふくふくとしている。
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そこへ庭先を通りかかったのは、手代の佐吉でした。先刻、寺から帰って来たと言った、二十七八の滑らかな感じの男です。「お前、佐吉と言ったな」 「ヘエ、なにか御用で」 佐吉は少し怯えたように、その癖どこか横着らしい、人を喰った顔を挙げて、縁側の上の平次を見上げるのでした。
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年恰好も三十七歳といえばそうも見えまた二十七八歳のようにも見えなくはない。この時の春琴女はすでに両眼の明を失ってから二十有余年の後であるけれども盲目というよりは眼をつぶっているという風に見える。
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あいつは貴女のことを、未だに二十七八の若奥さんのように思ってるんです。呉々もよろしくとのことでしたが、実は田鶴子さん田鶴子さんで、大分肴にしました。
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章は矢筒を持ったなりに振り返った。二十七八に見える背の高い女が来て立っていた。「ここでこの方にお目にかかってね」若い女は急に笑いだして、そして言った。
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二十七八、どうかしたらもう少しとつて居るかも知れません。蒼黒い顏をした醜い女で、その醜さを意識して居るだけに、邪推深くて氣が變り易くて、そのくせ涙もろくて、誰にでも自分を訴へずには居られないと言つたタイプの女です。
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新潮の正月号に批評書くつもりが遅れたもの也。この月の文芸雑誌二十五六日に出て、二十七八日に送って来る。稿料も三十日までに皆来る。
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