一縷
全て
名詞
559 の例文
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とにかくこの女性がまた眠りこんでくれればありがたい。だが、一分また一分と時間がたってその一縷の希望もうすれてしまった。ときどきチラリと盗み見すると、女性はまたたきもせず目をさましている。
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中学校を卒業する頃には、俺はもうそんなガキな夢を見ることからも卒業して、この世の普通さにも慣れていた。一縷の期待をかけていた一九九九年に何かが起こるわけでもなかったしな。二十一世紀になっても人類はまだ月から向こうに到達してねーし、俺が生きている間にアルファケンタウリまで日帰りで往復できることもこのぶんじゃなさそうだ。
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力のおよそ均等な国同士が領地を獲りあうからこそ成立いたします。相手を陥落させる可能性が一縷でもなければ戦争とは認められません。相手を倒す力が明らかになければ、単なる反乱。
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斧のようなもので殺されたのだろう、床はそこらじゅう血で濡れ、歩くことも難しい凄惨さだった。一縷の望みをかけて、隣合う小屋にも行ってみたが、そこも同じだった。母親がふたりの我が子を両手に抱いてこと切れているさまに、エリもボッズも言葉さえ出なかった。
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松岡 米大統領は国民をひきずって参戦にもってゆこうとしている。ただしそれに米国民がついてゆかぬかも知れぬという一縷の望みあり。ルーズベルトは非常なデマゴーグであり、おそらく米の参戦をとめることは出来ぬであろう。
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自然子供が大きくなるの丈が何かだという生活は何とおそろしいでしょう。こうして手紙かいているということは、一縷のわたしたちの人生的糸です。
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僕の十九の学生時代に、父は死んだ。父の目には、こんな子にさへ一縷の希望を繋いで死んで行つてくれた。けれど母には、一日の喜びも与へず、苦労に苦労の一生を終らせてしまつた。
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と思いながら、もし天国であったなら、どんなに嬉しかろう!この一縷の希望を持って、左門は、尚も刀箱を見据えているのであった。
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そうなればいかに堕胎を望む親にしたところで、翻意するかも知れない。もしかするとこの娘はそうした可能性に一縷の望みをかけているのだろうか。
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それはどこかにそっと一縷の望みを残しておきたいという人間の弱点であった。そしてこの高倉利吉は、そこに追いこまれることをのっぴきならぬ自分の立場と思いつめた。
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それから一週間前ぐらゐにも二三度来てゐるんだ、といつた。それをきくと、見る見る眼前に一縷の光が流れこんでくるやうに感じた。
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彼は、一日の朝オフィスへ着て出た服のまま、昼夜ネクタイも取らずに吉報を待って電話の傍らに立ちつくした。しかしそれでもロス氏の頭の隅には、まだまだ一縷の望みが宿っていた。というより、チャアリイの無事と早晩の帰宅を無条件に信じて、彼は疑わなかったのだ。
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もう逃れられないとあきらめたからではなかった。統帥がいれば脱出に成功するのではとの一縷の希望を抱いていたからである。それほどムッソリーニへの信頼感は高かったのである。
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事件は膠着したまま、十一月二十七日を迎えた。あらゆる手がかりを絶たれた捜査陣は、この日に一縷の望みを寄せていた。例のニセ債券が十一月二十七日に償還日にかかるのである。
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教会のなかがじめじめしているために、体がいよいよ弱くなって、彼はめッきり年をとった。そして、彼が心ひそかに念じている一縷の望みも日一日と崩れて行くのだった。いまはもう、教会へお勤めに来る人はひとり残らず知っていた。
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さうではなくつて、意外にも又一縷の希望が萌して来たからでございます。その希望は、わたくしの古くから持つてゐた記憶と、今目の前に見てゐる事とを思ひ合せた結果で、出て来たのでございます。
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危機に瀕して、これほどの無力感と絶望感を感じたことも初めてである。相手が、ふつうの人間なら、どこかに一縷の望みが見えたかもしれぬ。しかし、ここにはなにもなかった。
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