フリッパント
全て
名詞
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その意味は、共同性に代わるものは、個人性であり、公共性だとしても、それらの対置、代置には、まず、共同性と同じ世界の住人である私性による、その殺害が、必要とされる、ということなのである。別にいえば、皮肉で、距離をおいた、彼女のフリッパントな語り口は、あの次から次へと悲惨な経験をへた絶滅収容所の証人を繰り出し、一枚岩的かつ悲壮な口調で証言を引きだすハウスナーの語り口の完全な陰画なのである。それは、この裁判とその主題であるユダヤ人の経験をめぐるイスラエル、ユダヤ人社会が完全に欠落させているものから成っている。
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では、アーレントはここでなぜこういう語り口を採用しているのか。あるいは、この本はなぜユダヤ人絶滅という「重い」主題を扱ったルポルタージュとしては変則的というほかない、乾いた皮肉っぽい、フリッパントな語り口で、書かれるのか。はっきりしているのは、この語り口がたとえば作者の無思慮の結果などではありえないことである。
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