カタナシ
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名詞
18 の例文
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一方劉万戸の方では、秀英を高位高官の者からもらいにくるので、そのつど婚姻をさせようとしたが、秀英が頑として応じない。しかたなしにそのままにしていたところで、文世高の名が聞えてきた。劉万戸は自分に明のなかったのをひそかに恥じていた。
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「そうか、それでは」 平三郎はしかたなしにその酒を注がして、口の縁へ持って往ったが厭でたまらない。それでも受けたものであるからしかたなしに眼をつむってぐっと飲んだ。「もういかん」 平三郎は盃を下においた。
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「必ず太陽を背にして飛べよ」ハリーはしかたなしに二人にそう言った。ハリーはハッフルパフのキャプテンと握手をすませ、マダム・フーチのホイッスルで地面を蹴り、空に舞い上がった。
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埠頭では左右に散開した二体のスキュラが大爆発を起こした。人類側に空中要塞と恐れられたスキュラも荒波機の前には形無しだった。「荒波司令、それぐらいで」 善行の声が聞こえた。
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翌晩になってまた児が便所に起きたので、後妻は睡がる夫を無理に起して児を抱かし己は後から随いて往った。青年はしかたなしに便所へ入って児に用をたさせながら正面の壁の上を見た。そこには前夜後妻の見たままの前妻の姿があった。
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松江は皆美館に泊る。部屋といい眺めといい料理といい、その善美なること言わんかたなし。しこうして風呂は温泉なのである。
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ついすると、神田の方へ往く電車の乗場にいるかも判らないと思って、そこへも往ったが、彼の女らしい者は見えなかった。私はその櫛を握ったまま、しかたなしに友人のいるカフェーへ引返した。「おい、なにをしているのだ、待ちかねたよ」 友人は左隅の卓に寄ってビールを飲んでいた。
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久しぶりで国へ帰って子供に会うのはうれしい。しかし夫の仕送りがとぎれて、しかたなしに親の里へ帰るのだから心配だ。夫は呉にいて長らく海軍の職工をしていたが戦争中は旅順の方に行っていた。
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と、右の方から黒い大きな戸が音を立てて締って来た。彼はしかたなしに足を止めたが、その戸はみるみる左の方へ往ってしまった。彼はこの隙に入ろうとしたところで今度は左の方から黒い戸が音を立てて締って来た。
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あの時もおれは清助さんに止められて、あんな若い人を一緒に参籠に連れて行かれますかッて言われた。それでも勝重さんは行きたいと言うもんだから、しかたなしに連れて行った。
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しかし、それでもどうしてもそうした家がなかった。彼はしかたなしに諦めて、くたびれた足を引擦るようにして帰りかけた。と、東西になった街の東の方から青い上衣の小婢がやって来た。
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だから、わたしはしかたなしに話の通じないのを幸ひにして黙つてしまつた。このごろ殊に国へかへつてから、わたしにはわたし自身の好みといふものに或る偏屈を感じ出して、偏屈な人間はその偏屈であるためになほかつ偏屈にならなければならないことに、その意識を強めることが少し美しくない気がし出した。
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何か事情を知らぬかと、太后陛下にも目どおりしようと考えましたが、病に伏せたとの仰せ。しかたなしに、手持ちの騎士を用いて秘密裏に調査を開始したのです。
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家の者はそれを持って往こうとしたが、鉢が案にくっついて動かない。しかたなしに五六人で、力を合わして取ろうとしたがそれでも動かなかった。秋壑は奇怪な報らせを聞いて出てきて、ちょっと手をやると何のこともなしに取れてしまった。
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しかし、やらないわけにはいきませんから、しかたなしにやります。
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焦生と僕は途方に暮れてしまった。二人はしかたなしに何処かそのあたりで野宿にいい場処を見つけて寝ることにした。焦生は馬からおりて、野宿によい場処を見つけるつもりで、さきに立ってそろそろと歩きだした。
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その人が袖を出して、しきりに何か催促するじゃありませんか。栄吉さんもしかたなしに、天保銭を一枚その袂の中に入れてやりましたよ。
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