アイヘン
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名詞
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ふたたび岸辺の葦の群生が眼に流れてくる。岸には「アイヘン」「エルレン」などの枝繁りあい広ごりて、水は入江の形をなし、葦にまじりたる水草に白き花の咲きたる、と鴎外が書く風情であった。そのうち、商社員がルードイッヒ二世のホモ説と「うたかたの記」との矛盾にどう反論してくるかと書記は考えて、ふいと皮肉な笑みがおのずと出てきた。
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巨勢は唯奈何にもして少女が命助けむと思ふのみにて、外に及ぶに遑あらざりしなり。レオニの酒店の前に来しが、ここへは寄らず、これより百歩がほどなりと聞きし、漁師夫婦が苫屋をさして漕ぎゆくに、日もはや暮れて、岸には「アイヘン」、「エルレン」などの枝繁りあひ広ごりて、水は入江の形をなし、蘆にまじりたる水草に、白き花の咲きたるが、ゆふ闇にほの見えたり。舟には解けたる髪の泥水にまみれしに、藻屑かかりて僵れふしたる少女の姿、たれかあはれと見ざらむ。
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