ものを土台
17 の用例
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前もって断っておくが、あなたは私が強制されて書いたものを土台に話している。
松本清張『日本の黒い霧(下)』より引用
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ただし、かれらが唖然とするように結び合わせて贈呈する、と。
既知のものを土台にしてのみ、未知のものが了解され、衝撃を与える。
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山口昌男『道化的世界』より引用
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こういうことが我々の眼の前にあるのでありますから、昔においてもこういうことがありはしなかったか。
字に書いたものを土台にして調べるという場合には、すぐこんな問題に打突かるのであります。
古い時代の古典は、国語の音は万葉仮名で書いてあります。
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橋本進吉『古代国語の音韻に就いて』より引用
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西側諸国においては、北大西洋条約機構標準の兵科記号が標準化され、広く用いられている。
これはアメリカ陸軍が使用していたものを土台にしたもので、陸上部隊ならば四角をベースとし、枠内に兵科を、上部に部隊規模を示すものとなっている。
西側諸国においてはフランスを除き、旅団以上の規模表示について指揮する将官の星数が軍隊符号と同じである。
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ただ、繰り返すが、本当に野球が好きだ。
野球を通じて学んだものを土台に、これからもっともっと、人間としての器量を大きくしていかなければ、と思う。
現在の僕の器は、言うならばまだまだ小さなお猪口みたいなものだ。
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江川卓『たかが江川されど江川』より引用
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和算のこの態度は、すべてが技能的である日本のものとしては極めて自然のことであった。
和算は理論としては支那のものを土台として、これを改造同化したのであるが、しかも支那で見ざる方面に発達し、応用の才を現わしている。
これは支那の美術を学んで、しかも特色あるものを作ったことや、支那の医学を学んでやはり特色のあったのにも比すべきである。
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三上義夫『文化史上より見たる日本の数学』より引用
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夫唱婦和などと申す事は男の方が自分の都合のいいように設けられた教で、根が女を対等に見ぬ未開野蛮のあさましい思想から出ております。
片方の都合のいいように途中で設けられた道徳以上に、私どもは人の心が完全に発展して行けば必ず其処に達せねばならぬというものを土台にした道徳に由って安住致したい。
もし夫唱婦和が人の本性に基いたものであるなら、諾冊二尊が天の御柱の廻り直しもなさらないでしょうし、また畏多い事ながら教育勅語の中に「夫婦相和し」と夫婦の対等を御認めにもならなかったでしょう。
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与謝野晶子『離婚について』より引用
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その難関を突破できても、十五歳までにはさらにもう一人が世を去っていったのであり、つまりは赤ちゃん二人につき一人しか大きくなれないという勘定になる。
しかもこのようなデータは基本的に、それぞれの小教区ごとにつけられていた台帳に司祭たちが記入したものを土台に計算された数字だから、そうした定住者の世界からはずれてしまった者たち、一九七〇年代から歴史学や社会学でマルジノー marginaux とよばれている者たちは、しばしばカヤの外なのだ。
しかもそうした社会の最底辺をなしたマルジノーの数は、なかなか馬鹿にならないほどだったと推定されるから、現在のような人口統計がもし可能なら、事態はさらに悲惨だったことが判明するやもしれぬのである。
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福井憲彦『時間と習俗の社会史 ―生きられたフランス近代へ』より引用
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本節では、このアメリカ式ショートケイクを説明する。
アメリカ式のショートケーキは日本式に見られるスポンジケーキではなく、「ビスケット」と呼ばれるパンとケーキの中間のようなものを土台にしている。
これは小麦粉の生地にショートニングやラードを加え、重曹とベーキングパウダーで膨らませた、外側はサクサクとして内側はふっくらとした食感のあるパン/ケーキであり、英国のプレーンのスコーンとよく似ているが、スコーンと較べて軽くあっさりしているのが特徴である。
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品物は小さいテーブルに椅子六脚、肱掛椅子とテーブルとソファ、飾り棚の組みなどです。
思えば、私は、志賀先生もおっしゃっていらっしゃるように、コピーや写しから入りましたが、年もとりましたし、これからは今まで学んだものを土台に、自分のものを強く打ち出した作品をつくってゆきたいと思います。
そしてその心がけは、ほんとにその家具を使う方の身になって、タップリこまかい心づかいが籠められたらと思っています。
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斎藤隆介『職人衆昔ばなし』より引用
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前の本は伝記物語でした。
つまり、良寛さんといふりつぱなお坊さんがじつさいにゐて、その人の書き残したものや、その人について書かれたものもいろいろあつて、私はそれらのものを土台にして書けばよかつたのです。
いひかへると、前の本は、良寛さんと私とのふれあひから生まれたのでした。
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新美南吉『あとがき』より引用
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おそらく上帝が故意に門をあけてかれらを中へ迎えたか、それとも強制的に送りこんだのだろう。
理由はともあれ、チュートン騎士団の団員たちはこの階層の原住民を征服し、自分たちが地球に残してきたものを土台にした社会を築き上げた。
その後、自然進化と、それを好みの型に作り上げようとする上帝の意志とで、この社会が変化をとげたことはいうまでもない。
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P・J・ファーマー『階層宇宙の創造者』より引用
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叙する方はさておいて、その景色を見る上においても十分その頭の働きというものは現れるわけである。
単に雲雀が揚がるのが面白いとして揚雲雀を見る人と、そこに深い、人生に対するある心持というものを土台において、その土台の上において揚雲雀の揚がるのを見る人とは、同じ揚がり具合を観察する上においても大変な相違があると思われる。
このシットリした心持というものは外から来るのではない。
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高浜虚子『俳句の作りよう』より引用
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いったい、君は、そういう事実を、君の眼でたしかに見ているのですか?
それとも、むしろ、君が手紙のなかで無意識に漏らしているように、多くの批評家の容赦なき意見を、ことに、新劇関係者相互の論難というようなものを土台にして、もうこれはダメだ、と絶望しかけているのではありませんか?
もし君が、そういう事実を具体的に観て、それを指摘できるとしても、君の観ている範囲はごく限られたものだとは思いませんか?
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岸田国士『あるニュウ・フェイスへの手紙』より引用
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ところが祥瑞五郎大夫は、日本へ帰るとまもなく病にかかって亡くなってしまった。
多年、明国で研究してきたものを土台に、祖国の陶器工芸に一生面を拓こうとした理想も中途で終ってしまったし、梨琴とのあいだに生した子の育つのも見ずに逝ってしまったのである。
と、その主人から、捨次郎はいまわの際に、託されたのだ。
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吉川英治『新書太閤記(一)』より引用
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インダー族は湖上の浅瀬に建てた高床式の水上家屋で生活を営み、伝統的には彼らの遺骸は湖の中に埋葬されるが、近年では陸上への埋葬も増加している。
インダー族の家屋は藻や水草が集まってできた浮き島を集めたものを土台としており、その上に湖岸の土や固定の泥を載せて水中に沈め、浮き島に杭を立てて家屋を建てる。
湖上、周辺の集落は職業別に形成されている傾向があり、インレー湖には自給自足的な経済圏が成立していると見なす向きがある。
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ナリブカという酒の類は、アルコール分が幾分低く、他の国のヴェルモットに似ている。
ウオッカやブランデーをうすめたものを土台とするが、ポートやクリミヤ梨、クリミヤりんご、桜んぼなどの酒も使うおいしい酒である。
そのなかには、黄金の秋などという風流な名の酒もあるので、そのわけを聞いたら、ソ連では中秋のある極く短期間に限り、輝くような麗わしい日よりがやって来る。
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坂口謹一郎『古酒新酒』より引用