もえつく
全て
動詞
18 の例文
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帽子がひざの上に落ちている。ひと晩じゅうともされていたろうそくは、もうほとんどもえつきていた。マルグリットは彼女のひどくとり乱した様子にびっくりして、しきいの上に立ちどまったまま叫んだ。
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ぼくは感傷に反対ではなかった。もえつきた心の中にまだ何か感情のようなものを感じるのを、ぼくはよろこび、感謝した。こうして、ぼくは古い酒場の思い出、古いぶかっこうな椅子への愛着にひたり、タバコの煙とワインのかおり、すべてのものがぼくに対してもっている、習慣や暖かさや故郷らしさのほのかな光にひたった。
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片すみに、ばかでかいクモの巣がかかっていたが、それすらあきやになっていた。われている炉石の上に、とうの昔にもえつきたたきぎののこりの炭があった。炉のそばに、たくさんの大きななべが、からっぽでほこりにまみれて、ひっくりかえっていた。
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ぐずぐずしているうちには後の方の人は見る見るむし焼きになり、横の方からはどんどん火の子が来て、着物や髪にもえつくというようなありさまで、女や子どもの中には、ふみたおされて死んだものもどれだけあるか分らないと言われています。
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あといくどか威嚇射撃をしてから、カクトールの部下は待っているグライダーに走りこんだ。かれらがエンジンをとどろかして舞いあがった後には、サイロ前の広場に三つの死体と、もえつきた金属塊が残っているだけだった。マーシャルのからだから煙がたちのぼっていた。
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船はあっという間にゴビの空に吸いこまれる。ローダンの加速ぶりは、ほかの物体なら空気の摩擦でもえつきてしまうほどのものだった。レスリー・パウンダー将軍は興奮をおしかくした。
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手に持っているむしろが、消えないうちに、手早く自分は、床のむしろをひろい上げた。石油がしみたのか、むしろがかわいていたのか、今度は、勢よく一時にパッともえついた。
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とにかく、わたしはさっさと荷づくりして、ここにやってきました。このお便りを書きおえぬうちに、もうもどることができないようにわたしのうしろの橋をもやしてしまったほうがいい、とねがっていましたが、いまはもうすっかりそれが灰になってもえつきてしまいました。わたしは「断崖荘」に荷物をほどいて落ちつき、フローレンスは第一変化の名前にとりかかっています。
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やっと一日の仕事がおわって、部屋へ引きあげてからも、グライス先生から逃げだすわけにもゆかず、また、そのお相手。燭台のろうそくは、残りわずかで、もえつきてしまうまで先生のおしゃべりがつづくのでは、と気が気でなかった。でも、幸いなことに、満腹するまで食べた夕食のために眠気をもよおした先生は、わたしの着がえがすまないうちから、もういびきをかきはじめていた。
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だから、押し入れからひきずり出されて、裸にされ、まえから抱かれ、うしろからはがいじめにされ、よじまげられ、ねじ伏せられ、執拗に責めたてられると、心のなかえではあいてを憎みつづけながら、女の悲しい性として、われにもなく息をあえがせ、燃えあがらずにはいられなかった。また、男のほうでも、女が燃えにもえてもえつきて、男といっしょに溶けてしまうまで、けっしてからだをはなさなかった。時次郎の計算では、こうして繰りかえしくりかえし女の喜びを味わわせているうちに、いつかあいての心もとけて、おのれに傾いてくるだろうと読んでいた。
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もえつきて行くローソクの芯のように、みるみる自分が細って行くような心細さに捉えられる。自分がまるで不安という分子の集合体のように思え、また戸外で、私の名を呼びながら、私に悪意を持っている男が、私をたずねまわっているような気さえしてくる。
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すべてがもえつき、妖怪たちが、一かたまりの灰になってしまうと、ぼくは肩で息をしながら、小さな灰の山の数をかぞえた。
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天皇はつぎにはまたあるとき、その長谷にあるももえつきという大きな、大けやきの木の下でお酒宴をお催しになりました。そのとき伊勢の生まれの三重采女という女官が、天皇におさかずきを捧げて、お酒をおつぎ申しました。
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おせんは、身うごきひとつせず、義眼のごとくひらいた眼に、ただ、あぶらのようなものに黒びかりする拷問具をうつしていたが、それが百何十年かにわたる幾千人の罪人の血だと気がついた刹那、それらから黒いけむりに似たものが螺旋状にたちのぼるような気がした。そして、そのなかに、ひとつの黒い影が朦朧とうかび出てきたのを彼女がみたとたん、蝋がもえつきたか、提灯がふっときえてしまった。彼女は息をのんだ。
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いや、投げとめた。そして、かれを地べたにころがして、袖や裾にもえついている火を消してやると、蛾次郎は煙にむせながらはねおきて、こんどは竹童と一しょになって、戸をやぶるべく必死に力をあわせはじめた。しかし、いぜんとして出口は開かれない。
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たき火がもえつきておきになった。ドーラスの手下たちの大きな寝息がきこえた。
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金剛杖はよい物をもってお出でなされた。あぶない時には、それをナイフで削って、白樺の皮をむいて火をおつけなさい、きっと焚火がもえつきます、下手をやるとあの辺でも死にますからな。猿などが出ていたずらをしますから、新聞紙を沢山もっていってマッチでそれを燃しておふりなさい。
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