みかわせ
全て
動詞
18 の例文
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彼は、酒場にはいかず、二階桟敷にいったが、そこからは、自分がみられずに、ふたりをみることができた。彼らは、もう、舞台から目を放し、微笑まじりでたがいに目をみかわしていた。グリフィスはいつもの得意の能弁で滔々とまくし立て、ミルドレッドはそれにジッと聞き入っているようだった。
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とにかく途中の綾部行の汽車にでも乗ろうというので、今出ようとしていた汽車の最後部に飛び乗った。田熊が水筒に詰めて来た酒をのみかわしつつ、二人で沖縄戦について悲憤する。もはや本土が戦場になることは避け難い。
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また、どこかで会うことがあったら、今度はおいしいお酒でも酌みかわしましょう。
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耳を澄ませると、発酵タンクの泡音のごとく心地よく聞こえてくる。蔵元と酌みかわした酒のせいで、いつのまにか深い眠りについた。翌早朝、胴長靴をはき宿をとび出すと、めあての支流へむかった。
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歓声もなかった。かれらは言葉もなく手をとりあい、目と目をみかわした。とにかく、はじめて月面を踏んだ人間だということにまちがいはないのだ。
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職人や芸術家のような自己完結的な仕事に携わる人々にとっての酒は、一日の疲れと緊張をとことんときほぐす麻薬的効果だけでいいが、サラリーマンはその酒にときほぐされるのに身を任せっぱなしにするわけにはいかない。なぜなら、サラリーマンの酒は、同じ会社の連中と酌みかわすにしろ、それは場所を会社から飲み屋に移しただけのことであり、テーマのある会議がフリートークに切り替わったに過ぎず、アルコールで血管が押し広げられたからといって、会社の秩序の延長上にあることを忘れてはならないからだ。自由人は酔いにまかせてどう振舞おうと、その結果を自分で負う覚悟さえあれば構わないが、サラリーマンは、下は下なりに上は上なりに果さなければならない心配りを酔いのせいでなおざりにしようものなら、そのツケは翌日直ちに回ってくるものと覚悟しなければならない。
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儒教も武士道も、よくよく考えると支配者のための奴隷の道徳としか思われなかった。男女の恋も、ただ肉欲だけならまだ可愛いところがあるほうで、大半は双方ともなかなか勘定高いところがあり、母の笑顔は他人の子には夜叉となり、男の友情と称して酒をのみかわして抱き合ったりしても、その友人が頓死でもすればべつの友人とゲラゲラ笑い合っているなどという手合が多い。お澄まし顔の女が、閨ではどんなあられもない姿態をするか、と想像すれば失笑のほかはなく、逆に得意顔で好色談をする男のそのときの顔や恰好を想像すると、吐気がした。
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そのようなことを考え、心のなかで笑っているうちに、護衛兵たちがかれを、闘技場の地下の牢舎へ導いた。死刑の宣告を受け、地下の獄房に監禁されても、平然と笑いつづける男を見て、槍兵たちは驚きの目をみかわしていた。そしてゾンガーは、あきれた顔でみつめている兵士たちに、昂然として言明した。
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彼らはもはや、ひややかな夜も、冷たい石も、湿った土も、濡れた草も感じなかった。彼らはたがいにみかわし、心は思いにみたされた。われしらずたがいに手をとりあっていた。
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「そうらしいな」 イリヤも同意見だった。「たしかにあいている」 そして二人は、たがいに顔をみかわすだけで、かなり長いあいだ、どちらも口をきかなかった。最後にやっと、ナポレオンがいった。
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のみかわしつつ、膳の上のものも食べる。この夜も、また雨になった。
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身分の差は厳然としていた。地酒を大人たちが酌みかわすうちに、膳が運ばれた。日野家の食膳よりよほど豪華である。
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ほかの隊員たちも、無事に、重囲を脱してくれただろうか。松村部隊長を中心にして、部隊本部の幹部たちは、語り合ったが、なお、愁眉をひらき得ない眼を、みかわしたのである。松村部隊は、兵団主力の撤退終了とともに、自隊としては、敵地に残存する友軍を収容しつつ、南下を図ることに全力をつくさねばならなかった。
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佐伯達人と沢村君、それから和子の三人はまだそのことをしらなかったから、びっくりしたように金田一耕助の顔をみなおした。三芳欣造氏と恭子夫人は、さすがに三芳新造氏夫人のほうをふりかえるようなまねはしなかったが、なにかしらどきっとしたような眼をみかわせた。三津木節子はあいかわらず蝋のようにあおざめた顔で、どこをみるともなくひとみをすえている。
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こういう場合には酒が与えられる。それも主人と酌みかわすのではなくて、一方が酌をしてやってその家来だけに一杯飲ませるので、狂言では普通は扇を使い、何だか烏帽子櫃の蓋のようなものを、顔に当てるのが飲む所作となっている。すなわちあの時代にも一人で飲むのは下人で、主人との献酬はなかったのである。
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酒を、博雅と酌みかわすうちに、夜になった。さすがに、本堂では飲まなかった。
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そして、くりかえしその本能の地獄からセンチメンタルな哲学的な慰めへ、この慰めからまた狼根性の盲目的な陶酔へ逃避することは、彼にはもうできなくなるだろう。人間と狼は、いつわりの感情のマスクをぬいで互に認めあい、お互にまともに目と目をみかわすように、ならざるをえないだろう。その時は、彼らは爆発して、永久に分裂してしまい、もう荒野の狼は存在しなくなるか、立ちのぼるユーモアの光にてらされて、理性結婚をするだろう。
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