まるで廃屋
10 の例文
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この七輪で、女中が自分の食べるのだけ煮たきをするのだと云うことだ。まるで廃屋のような女中部屋である。黒い鎧戸がおりていて石鹸のような外国の臭いがしている。
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長屋家はしとしと雨に濡れて、ひっそりと静まりかえっていた。町の中をゆく旧東海道には人の姿はなく、長屋家の広々とした屋敷も、まるで廃屋のように人の気配が感じられない。しかし、車を門内に乗り入れて停めると、玄関から長屋の母親が顔を出した。
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さらに、二度、三度。まるで廃屋で目の前の蜘蛛の巣を破りながら先へ進むような気軽さで、腕が振るわれる。そのたびにネフテュスの体積が奪われていく。
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此七輪で、女中が自分の食べるのだけ煮たきするのだと云う。まるで廃屋のような女中部屋、黒いよろい戸がおりていて、石鹸のような外国の臭いがする。
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二人は一応顧客を訪問する時の礼儀を守って、静かにドアをしめたが、内部の様子を見て呆気にとられてしまった。まるで廃屋そのものなのである。ドアを入るといきなり二階の天井まで吹き抜けになった広い部屋があり、その突きあたりの中央に大きな階段があって、階段は途中から左右に別れ、吹き抜けの一階を見おろす回廊へ続いている。
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所轄からの報告だと、その清和ハウスというのは、細い曲りくねった路地の奥にある、まるで廃屋一歩手前の木造ボロアパートだとのことだ。既に二階の二〇五号室では、踏みこんだ警察官によって、現場検証が始められているという。
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夜の校舎ってやつは、なかなか不気味だった。築三十年以上は確実なコンクリート製の白い校舎が、真っ黒な闇の中にボウっと浮かび上がって、見る角度によってはまるで廃屋みたいに見える。何とも言えないイヤーな感じ。
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周囲を低い石塀で囲んだその屋敷は、薄く板状にした石で屋根を葺き、煤けた緑と紅色の土壁、太い木の柱で構成された天井の低い家である。造りは素朴でも、それなりの由緒ある風格を持った屋敷だったが、今は、ガロウ・ランの本陣と化して、まるで廃屋のように乱雑だった。村を一望できる斜面を削って建てられているその屋敷の背部には、巨大な樹木が林立して、左右には低い濯木が続き、その向うには、桑畑に似た濃い緑の光景が続いていた。
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これでは、大人《お と な》が十人も入れば、窮屈なことだろう。それに、漆喰を塗った外壁は、黒緑色の苔がむし、まるで廃屋のような雰囲気《ふんい き 》だった。ライデンの盗賊ギルドは大きな勢力を持っていると聞いていたから、建物の貧弱さは驚きでさえあった。
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