まだ多分

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  • それに、忠利自身が、まだ多分に、一箇の若侍といったふうだから、彼らと膝を組んで、彼らのいいたいことを聞いているのが好きであった。 吉川英治『宮本武蔵』より引用
  • 子供の時から目立っていた、なかなかうち解けない性質が、まだ多分に残っていて、人をはっとさせるような感情の表現を抑えることができたのです。 エミリー・ブロンテ/岡田忠軒訳『嵐が丘』より引用
  • 長門もいてくれたら、というのも本音だが、あいつはまだ多分動けないような状態にあるんだろう。 谷川流『涼宮ハルヒの驚愕(後)』より引用
  • 僕は、大戦争およびその後も引続いて盛んに煽りたてられた狂信的愛国心が、まだ多分に民衆の中に残っていると思った。 大杉栄『日本脱出記』より引用
  • そういうまちがいを結果しないために理論家のしなければならないことは、理論家たちがきょうまだ多分に身につけている「私論的要素」をはやく乗りこえることである。 宮本百合子『両輪』より引用
  • 私はいくらかハッキリしたものの、まだ多分に狐につままれたような気持ちで社へかえると、課長に礼をいって、あらましのことを報告した。 横溝正史『金田一耕助ファイル01 八つ墓村』より引用
  • まだ多分に野性なのだ。 吉川英治『宮本武蔵』より引用
  • まだ多分に幼気おさなげのぬけない初心うぶな二条に、けたたましい悲鳴などあげさせぬためにも、事は陰密に運ぶ必要があった。 杉本苑子『新とはずがたり』より引用
  • つまり、そこは急速に発展していく郊外都市の触手から、ほんのすこしばかりはずれた地点にあたっており、周囲にはまだ多分に武蔵野の面影をとどめている。 横溝正史『金田一耕助ファイル15 悪魔の寵児』より引用
  • 私一個の感じから云えば、桜の花の開きそめる四月上旬までは、まだ多分に冬であるし、木の葉の出揃った新緑の頃は、春と異った別の世界である。 豊島与志雄『春の幻』より引用
  • 正季にすれば、おなじ決死の覚悟ではいても、まだ多分に、足利勢を破って、勝つ望み、生きての望みを、捨ててはいず、また捨て切ッた覚悟ではなかったのである。 吉川英治『私本太平記』より引用
  • ところが、会ってみるとその人は、四十に四、五年、間のありそうな年頃で、頭を丸刈りにした、まだ多分に、書生っぽさの残っている人物だったので、刑事もちょっと案外だった。 横溝正史『金田一耕助ファイル02 本陣殺人事件』より引用
  • 本書特に後篇はまだ多分に引用に終止する自然弁証法の概説か序論かであって、その限り研究というよりも、可なり権威ある啓蒙と云うべきだろう。 戸坂潤『読書法』より引用
  • それは、広々としたへやや、綺麗な枝形燈架や、贅沢な家具などと共に、往時の雅致をまだ多分に残してゐる場所だつた。 ゴールドマン・エマ『子供の保護』より引用
  • わけて彦右衛門正勝には、その頃、僧侶としてはまだ多分に若気わかげであった一旅僧の恵瓊の姿が追憶された。 吉川英治『新書太閤記(八)』より引用
  • たずねられるまま、あれこれ、見て来たばかりの狂言の仕方話しかたばなしに打ち興じる熱中ぶりは、たかぶりの余韻というより、まだ多分に身体そのものに酒気を残している証拠である。 杉本苑子『絵島疑獄(下)』より引用
  • 都築民子はことし四十五になるが、かつて浩三の父に愛された美貌はまだ多分に名残をとどめて、日本画家を父に持ち、父の弟子の日本画家のところへとついだというその境遇からか、品のいい、しっとりとした落ち着きを示している。 横溝正史『迷路の花嫁』より引用
  • 松代もすらりと背のたかい婦人で、七十とは思えない頑健なからだを黒いスーツでつつんでいて、頭髪はまんなかからふたつにわけてうしろでひっつめにしているが、まだ多分に黒いものがまじっている。 横溝正史『殺人鬼 他三篇』より引用
  • 九十九坂はちと大袈裟おおげさとしても、とにかく坂の多いところで、そういう地形のせいか、東京の近郊としては発展がおくれて、いまから十五、六年まえまでは人家もまれに、まだ多分に武蔵野の面影をのこしていた。 横溝正史『金田一耕助ファイル02 本陣殺人事件』より引用
  • 歐洲大戰で各國がなめたほどの忍耐まで行くか、或ひは、日露戰爭の折に、熱狂したほどな熱狂をやるまでには、今の日本國民は、まだ多分に、餘裕を持つてゐる。 吉川英治『折々の記』より引用