ぼんやりと考えこん
17 の例文
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もののいえないものが、みんなかわいそうになりました。いつかまた、敏ちゃんは、ひとりぼんやりと考えこんでしまったのです。
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チェホフとスポックは自分の部署に戻った。チェホフは更にしばらくの間、ぼんやりと考えこんでいるようだった。やがて、ふと周囲の静けさに気づき、他の人達の存在が気になり出した。
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落ち着いた色彩のネオンに飾りたてられたビルが立ち並ぶ間を、北へ抜けて宝町駅の方へ進むと、細い路地の入口に小さな電光看板が出ている。その看板の前に立って、俺はぼんやりと考えこんだ。ここまで来たことは覚えている。
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しかし、このグループも完全に独立しているのではなく、ときおり第一のグループや第二のグループの会話のなかに巻きこまれた。しかし、多くの場合、かれはただぼんやりと考えこんでいた。第四のグループ。
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海岸にまっていたのは、やぶれた筏だけであった。彼は、砂の上に腰をおろして、ぼんやりと考えこんだ。ラツールもいなくなった。
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瓊英はそのまま腰をおろして、しばらくのあいだぼんやりと考えこんでいたが、やがてようやく床についた。翌日、瓊英はまだ石つぶてを投げる法を覚えていたので、さっそく塀のあたりから鶏卵ぐらいの大きさのまるい石を拾って、ためしてみようと、寝室の屋根の鬼瓦をめがけて投げつけてみたところ、見事に命中して大きな音とともに鬼瓦はこなごなにくだけ、ばらばらと落ちてきた。
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ぽかぽかと暖かい日光、大空に囀る雲雀、茶株で啼く頬白、ああ、春ももうあといくらもないのだ。菜の花の匂いを送ってくる野風に肌をなぶらせつつ、いつか彼女はぼんやりと考えこんでしまっていた。午後も畑へ出るつもりでいると、お梅とお民がけばけばしいレーヨンの春衣で、きゃっ、きゃっとはしゃぎながら訪ねて来た。
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どこへ行ったのかネロの姿も見えない。博士が重いステッキをついて、ふたたびゴトゴトと事務所の方へ帰ってくると、お君は頬杖をついてぼんやりと考えこんでいた。
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門で別れるとき女は指を三本立て、掌を三度ひるがえし、それから胸にかけていた小さな鏡を指さして、 「おぼえていてね」 といった。崔晨はそれからその女を忘れることができず、毎日ぼんやりと考えこんでいて、食事も忘れるほどであった。
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稀夢子はあらためて注文したコーヒーをゆっくりと飲みながら、しばらくぼんやりと考えこんでいたが、やがてステレオが男の声で帰りたくないのと歌い出したので腹を立てて店を出た。ビルの四階の経理課へ行って夫の給料を貰った。
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そして全体としては幸福なご夫婦だとお見うけいたしました。でもそのじつ奥さまには何か秘密のお悲しみでもおありになりますのか、よく悲しそうなお顔をして、ぼんやりと考えこんでいらっしゃいます。
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つぎの日には、ごんは山で栗をどっさりひろって、それをかかえて、兵十の家へいきました。裏口からのぞいて見ますと、兵十は、午飯をたべかけて、茶椀をもったまま、ぼんやりと考えこんでいました。へんなことには兵十の頬ぺたに、かすり傷がついています。
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その俊助が、ちかごろどうかすると、ぼんやりと事務机に片肱ついて考えているのだから、誰の眼にも異様に映らない筈はなかった。「三津木、どうかしたんじゃないか」 同僚が心配して声をかけてくれるが、ううんと物憂さそうに首をふったきり、相変わらずぼんやりと考えこんでいる。どこか面窶れがして、眼にも生気がない。
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伊織は妙なことに感心して、また紙片を見る。いま署名したら、それできれいさっぱり片付くと思いながら、なお夜が深まる窓ぎわでぼんやりと考えこんでいる。一体、この億劫な気持はなになのか。
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肌寒い不安がはいあがってきた。バルサは戸をしめて、春の陽射しにやわらかくてらされた庭にもどり、しばし、ぼんやりと考えこんだ。馬が、うれしそうに、やわらかい草をはんでいる。
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マンションの内部は、キッチンのテーブルや流しに汚れた皿が重ねられたままで、居間も子供たちが出ていったあと、しまわれていない布団や脱ぎすてられた服などで散らかっている。ふだんの朋江なら、それらを手荒く片づけていきながら、なんともいえない苛立ちに襲われて、独り言に毒づいてみたり、物を放り投げることさえあったが、今朝の彼女は、何かしかけても意識がふと虚になって、知らぬ間にぼんやりと考えこんでいる。向かいの4LDKからも、物音一つ聞こえてこない。
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