ひおどし
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名詞
18 の例文
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旅の途中で、煙草畑に葉をつんでいる少女に会った。少女はついこのあいだ、緋おどし谷から里へ帰ってきた胡蝶陣のなかのひとり。その少女のはなしで、前後の事情、うらぎり者の毒水の詭計、咲耶子のはたらいたことまたそのために捕らわれとなったことなど、すべて明らかに知ることができた。
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そして、野菜畑の間を急ぎ足で素通りして、庭を横切り、もう悉く青葉に覆はれてゐる海棠の木蔭からあたりに人目のないのを見定めた後に、腰窓をまたいで書斎に飛び込んだ。床の間には四五日姿をかくしてゐた緋おどしの具足が再び返つてゐた。金泥に姥桜の散しを置いた小型の翳扇が一面欠けてゐるだけで、欄間の様子も元のまゝに返つてゐた。
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経盛は敦盛や藤の方に告げる暇もなく、その場を立ち去った。だがそのあとで敦盛は緋縅の鎧兜に身を固め、騎馬で出陣しようとする。藤の方はこれを見て驚くが、敦盛は経盛のいうことを聞くようには見せたものの、やはり平家の一門として討死をする覚悟だったのである。
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皇太子殿下ご結婚式の、お馬車や馭者の、あの色調である。緋おどしの大鎧と並んで、ルーベンスかと思われる天使を描いた大油絵。窓かけは、ぼってりと重い真紅の色である。
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その傍の緋縅の鎧の武将を、豊臣秀頼ではないかと思ったことも、今は黙っていたほうがよいと判断した。
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武者絵、錦絵、二枚つづき三枚つづきの絵も彼のいうがままに買ってくれた。彼は自分の身体にあう緋縅しの鎧と竜頭の兜さえ持っていた。彼は日に一度位ずつその具足を身に着けて、金紙で拵えた采配を振り舞わした。
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ねえ田郷さん、円廊の扉際には、外面艶消しの硝子で平面の弁と凸面の弁を交互にして作った、六弁形の壁灯がありましたっけね。実は、緋縅錣の方に向いている平面の弁に、一つの気泡があるのを発見したのです。ところで、眼科に使うコクチウス検眼鏡の装置を御存じでしょうか。
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高いところに手摺が見えて、そこから赤い美しい絨毯が垂れていた。一つの大きいドアの左右に日本の緋おどしの甲冑と、外国の鋼鉄の甲冑とが飾られていた。そのほかホールには壺や飾皿があった。
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取ってあるのは五階奥の部屋だ。エレベーターを降りると左手に、五月人形をしまい忘れたように緋縅の鎧が置いてある。よく分からないセンスだ。
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大久保長安の後詰の手勢、百人ばかりはべつな道から緋おどし谷へ向かっていた。糸染川と神仙川の合流するところで、熊蔵の一隊と一つになり、聖地のごとき百合の香花を踏みあらし、もうもうとした塵をあげて、れいの蔦のかけ橋まで殺到した。
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緋縅部屋のほうは、別の人がやるということですが、そういう人事面は、わたしには皆目わからないですね。緋縅親方がきて飛鳥野部屋をついでも、わたしたち母子はこのままここへ残り、いままでどおりの仕事をするのだといいます。
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それ以来、東寺に立ち寄るのが足利将軍家の吉例となったのである。義輝は緋おどしの鎧を着て、雪のように白い馬にまたがっていた。兜には日輪の前立てをつけ、腰には黄金造りの太刀をはいている。
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日本でもそうだ。緋おどしの鎧だとか、金覆輪の鞍を置いてあるとか、非常に着物が派手だったと思う。
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景虎は馬に跨がり、騎馬武者に、前後を囲まれて進んだ。緋おどしの鎧をまとい、顔を白布でおおったその姿に、道ゆく人々は驚きの表情をみせた。「どこの国の武将だろう」 「さあ」 沿道の人垣から、ささやき声が洩れてくる。
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養沢に担がれた春駒親方もいました。飛鳥野部屋から独立した、元大関天神山の緋縅親方も一緒でした。
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景虎は、笑みを浮かべた。緋おどしの鎧が、陽光にきらめき、顔の白布を、秋風がなびかせてゆく。合戦らしい合戦を経ずして、北条勢の砦の一つは、落ちたのである。
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緋縅部屋のほうは、別の人がやるということですが、そういう人事面は、わたしには皆目わからないですね。緋縅親方がきて飛鳥野部屋をついでも、わたしたち母子はこのままここへ残り、いままでどおりの仕事をするのだといいます。「新しい飛鳥野さんは、通いの部屋持ち親方なんだ」 と多七さんがいいましたが、どうしてそうなのかもよくわかりません。
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