てばや
全て
形容詞
18 の例文
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事務員のほとんど全部が、ちかくのレストランやそば屋へ、昼食を食いにいって、ヤマト宣伝会社の事務室には、佐々木京子というわかい女事務員が、ただひとりしかのこっていなかった。京子はてばやくお弁当をたべてしまうと、雑誌をとり出して読んでいた。雑誌は映画雑誌だった。
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お前のに綺麗な衣服を、姉様と二人で縫い上げて、翌日は着せてあげようと楽みにして寝た晩から、あの邪慳な得三に、こうされたのはよく御存じでないかい。今夜は高田に恥かしめられるからさあ、どうかして下さいてばよう。ええ、これほどいうのに返事もしないかねえ。
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やがて群衆の間からぬけだすと、黒人は路地裏の家にはいった。そまつなテーブルの上で、てばやく手紙を書くと、それをおりたたむ。大きなかごをあけると、なかから一羽の鷹があらわれた。
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しかし、フェナクローンの驚異的な推進装置の完全な知識をもっていたので、デュケーヌは、これを注意ぶかく自分の脳に移した。それから、このおそるべき思考器官の他の部分も、てばやく調べた。二人の前に巨大な、非人間的な頭脳がひろげられると、デュケーヌとロアリングはフェナクローンの言語、習慣、文化だけにとどまらず、将来に対する彼らの計画も、過去における出来事も、すっかり読みとった。
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警部はやむなく、いきなり、れいの白木の寝棺のなかへとびこむと、そのなかにあおむけにねる。俊助はてばやくそのうえにふたをしておいて、じぶんはくらい縁側へ忍びでる。
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夜明けの漁からかえる夫の船を、むかえにいく女たちの荷車の音だろう。てばやく身じたくをととのえると、荷を肩にかけ、短槍を手にもって、バルサは足ばやに部屋からでていった。
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しわひとつない赤いスカーフと地味な黒いコートをまとったマギー・バーンズをにらみすえたが、マギーは平然と、ウィルの手の上からコートのポケットに手を入れ、青銅のしるしを抜き出した。それをウィルの目の前につきつけると、てばやく彼のコートのボタンをはずし、ベルトを抜き取って青銅の輪を通し、鉄のと並ぶようにした。「ズボンをひっぱり上げなさいよ、ウィル・スタントン」マギーは嘲るように言った。
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四十面相が化けたのです。骸骨のシャツをぬいで、自動車の中に用意してあったカツラをかぶり、茶色の洋服をきて、てばやく老人に化けてしまったのです。なにしろ、四十の顔をもっているやつですから、老人に化けるなど、わけもないことなのでしょう。
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紋三もあのまくらびょうぶがかりものであることを、妙見堂にきいてしっていたのだろう。そこで、てばやく本物と偽物とをはりかえてしまった。だから、弥平がびょうぶをとりもどしにきたときも、それから偽物にすりかえられていると気がついて、血相かえて談じこんできたときも、紋三はうちのなかにいたはずだが、弥平にすがたを見せなかったのは、そのときすでに妙見堂を殺して、千両の富をひとりじめにするつもりだったのだろう。
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カメラポジションは都庁側の角だった。次に、てばやくテレビ局のつかまえた目撃者の話があった。興奮したリポーターがサラリーマンふうの男に問いかけたが、目撃者の方が冷静だった。
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急用だからすぐに会いたいと言うと、彼女としては珍しく屈託のない声で、起きたときから誰かがたずねてくるような気がしていたと答えた。てばやく着がえてアパートをとびだし、タクシーを拾って豪徳寺へ向かう佐伯は、自分が紹子同様ひどくたよりない存在であったことに気がついていた。考えてみれば、塩谷秀夫も榊原紹子もアカの他人だ。
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武装した兵士が彼を乱暴に脇にどかすのを見て、彼女は抗議の声をあげた。衛生兵がひとり、てばやく彼女の瞳孔を調べ、別の衛生兵が血の流れる額に消毒ガーゼをはる。片腕になにかスプレーされ、からだ全体に力がみなぎり、元気がもどってきたような気がした。
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木箱の蓋を盆代わりにして、てばやくヤシの葉の詰物をつかみ出し始め、ようやく中の品物を出せるようにした。重さによろめきながらひっぱり出すと、誰もが息を呑んだ。
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チャグムがきえたのに気づいたのか、ようやくラルンガ〈卵食い〉がきえさったあと、ぶじにたっていたのは、自分とジンとゼンだけだった。トロガイは、ふところから消毒用の強い酒をとりだして針と糸を消毒すると、まずタンダの脇腹の傷をてばやく縫いあわせた。それから、ほかの者たちの手当てにうつっていった。
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バルサは首をかしげたが、いまは、そんなことを考えているときではないと思いなおした。バルサはジナを背からおろして、カッサに背おわせると、袋から火口箱をとりだして、てばやく松明に火をつけてやった。松明をジナの手にもたせて、バルサはカッサにたずねた。
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「敵」の組織力など、始や続は、とっくに承知していたのだ。暗い海上にすべり出した大型モーターボートの船上で、始と続は、てばやく相談をまとめた。基本構想を始が出し、続が実戦レベルでの技術案で応じ、始が了承する。
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「それでは、部下どもと打ちあわせがありますので、三〇分ばかり外させていただきます」 一時退出した奈良原は、エレベーターでロビーにおり、そこで待機していた部下に、てばやく指示をすませた。ところが、そのあと奈良原は、すぐにプレジデントルームへはもどらなかった。
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