つたなけれ
全て
形容詞
18 の例文
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さいわいみんな寝しずまったころあいです。わたしのつたない実験をお眼にかけるには打ってつけの時刻のようです。
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東の方に目をむけると、はるかかなたに何マイルにもわたって砂塵が舞いあがっているのが見えた。これは本街道で、わが軍が武運つたなく敗走しているにちがいなかった。だがまもなく、味方の落伍兵のなかには、こうした横道に迷いこんだ者がいるという証拠が見つかった。
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多分、「君踊るかい」といふやうな眼つきをしてO君の方を見た、それなのでせう。それとも、「困つたことになつたなあ」そんな顔をしたかもわからない。
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其処には足の低い食卓が置いてあつた。秀夫は昨夜客のゐた所は此処であつたなと思ひながら艫を背にして坐つた。その内に女は引返して行つて火鉢を持つて来た。
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特にぼくなんか、主役でも脇役でもありやしない、哀川さんの言うところの狂言回し。世界に関係のないところで展開される物語の一筋をつたなく語っているだけの存在。
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一枚につき二日はかけた。つたない技術でも時間をかければ何とかなると思っていたし、事実何とかなった。スクリーントーンは高かったので、二十パーセントと八十パーセントのものをちびちびと使用していたが、今回の作品ではあまり使わずにすみそうだ。
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尤もその家でも他の部屋々々には明るい電灯が点いてゐたのですが、私が自分の勉強室に定めた部屋だけには何故か電灯が引いてなかつたのでした。それで私がはじめて其処に来た時に、此処に灯りがなくつては困つたな!と呟きながら、何気なく押入をあけて見たら、片隅に埃りを浴びた大型の、覆ひに、薔薇に戯れる胡蝶の彩色が施された台ランプを見出したので、私はこれ幸ひと、それを私の机の上に据ゑたのです。
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伊助は後悔しながら、小平太が無事で逃げてくれることを念じた。これが武運つたなく捕りでもしたら、助けに行くことは絶対に不可能である。これを思うと狼狽せずにはいられなかった。
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高音さんを抱えて勝者として舞台を去るなか、試合を讃える歓声と紙吹雪、花吹雪は止むことはなかった。こんなつたない試合すら讃えてくれる観客に心の内で感謝を返し舞台を去った。
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しかもその名前なるものが、甚平凡を極めてゐるのだから、それだけでは、いくら賢明な車夫にしても到底満足に帰られなからう。困つたなと思つてゐると、車夫が桐油を外してこの辺ぢやおへんかと云ふ。提灯の明りで見ると、車の前には竹藪があつた。
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さてもつれない三人衆よ。夢見まほしい お天気の、頃も頃とてこんな時 つたない話をせがむとは!それでもひとりの弱声が 三人の声に勝てようか。
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私はここでこのあとに続くつたない小説のための弁護を試みる意図を持ってはいない。それどころか、私がこれから理解していただこうという考え方は、むしろ私が『ピエールとジャン』のなかで企てた心理研究的ジャンルの批判を必然にともなうであろう。
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人間の生活の苦しみは、愛の表現の困難に尽きるといってよいと思う。この表現のつたなさが、人間の不幸の源泉なのではあるまいか。これさえ解決できたならば、それこそ、君は君たり、臣は臣たり、父は父たり、子は子たりの秩序も当然のこととして、歌いながらおのずから出来て、人間はあらゆる屈辱、束縛の苦痛から救われる筈なのだ。
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B君、さっそくていねいな礼状をありがとう。つたない量子力学の話を最後まで熱心に聞いていただいたことを私も感謝している。あとで考えてみると、いろいろと話し残したことがたくさんあるが、それは、きみにまたお目にかかる機会にでもしよう。
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小さい時から僕は嗅覺がおそろしく鋭敏なのです。それは實際コッケイな位で、一度かいだ匂いは、めつたな事では忘れません。その時にはハッキリ意識しないでも、それと同じ匂いをかぐと、たちまち思い出します。
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彼女には、絶対に嘘をつきたくないと思うし、きっと、向こうもそうだと思う。話していると、自分が何てつたない奴なんだろうと思う。ぼく自身をそんなふうに思わせてくれた人なんて初めてだ。
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美濃守殿のことから、其方の潔白を聞いて、ひどく感心したのだつたな。全く其方は此の卑劣な、強慾な、恥知らずの人間ばかり多い土地で、珍らしい潔白な高尚な人間だ。
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