ぞうさもなく
17 の例文
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お城は日の光を受けてきらきら光っていました。大男は、みんなでそのお城をかついで、ぞうさもなく海ばたまで持って来ました。そうすると、そこへ鯨がみんなで出て来て、それを背中へのせて、向うの港まではこんでいって、王さまの御殿のそばへおし上げました。
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諸君もこれならきっと共鳴してくれるだろう、そう僕は信じていたのだ。そして諸君が何のぞうさもなく血判をしてくれた時には、僕は実にうれしかった。僕の考えは誤っていなかった、ストライキなどという脅迫的な手段に訴えて、朝倉先生の人格をきずつけるようなことは、誰も好んではいないのだ。
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エエほんとうにそうですワ、神様はキットそう云う人を作って下さるでしょう。でもそう云う尊いものは中々、ぞうさもなく現われる筈はありませんでしょう?
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わたくしのかわいいお方、それができないのですよ。この戸口は、開くときにとても大きな音をたてますので、もしわたくしが開けましたら、ぞうさもなく兄弟に聞こえてしまいます。
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もう半時もたちさえすれば、おれはなんのぞうさもなく、日ごろの思いが晴らされるのだ。が、まだなんだか肚の底には、安心のできない気もちもあるぞ。
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午後には、ある意味で彼は成功をおさめていた。つまり、デニーが外出していたので、ぞうさもなく彼はマドレインの病床へ行けたのであった。マドレインは彼に会うのを、すこしもよろこんでいるようすはなかった。
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その棒の先には、取りたての笹の葉の束がつけてある。このうちわや笹っ葉で打たれると、この虫は飛んでいるのを邪魔されると、羽を立てるのがのろい虫だから、ぞうさもなく捕えられてしまう。子どもたちは螢狩りをしながら、この光る虫が好きだと思われている歌をうたう。
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しかし、勤勉と忍耐、この二つでこの仕事をはじめ、その他の多くの仕事をやりとげたのである。わたしがとくにこのことをいうのは、こんなつまらない仕事にもどんなに多くの時間が費やされるか、その理由を明らかにし、手助けと道具さえあればぞうさもなくできる事も、ただ一人で、しかも素手でやるとなると、たいへんな仕事になり、途方もない時間をとるものだ、ということを明らかにしたいからであった。それにもかかわらず、わたしは忍耐と努力とで多くの仕事をやった。
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その偵察将校はなにも気づいていませんでしたからね。そこで、その将校が指令を与えていたあの尖塔の見物台のところまでいったとき、わたしはなんのぞうさもなく将校に襲いかかり、やつを黙らせてしまいました。
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二十面相は黄金塔をぬすみだすために、あらかじめ、ここの床下へぬけ穴を掘っておいて、支配人に化けて、さも忠義顔に、あなたにほんものの塔を、この床下へうずめることをすすめたのです。そして、部下のものがぬけ穴からしのんできて、ちょうどその穴の入り口にある塔を、なんのぞうさもなく持ちさったというわけですよ。賊の足あとが見あたらなかったのはあたりまえです。
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犯罪者とたたかうばかりでなく、とくいの探偵眼を利用して、少しでも世間のためになることなら、喜んではたらくというのが、団員たちの日ごろの申しあわせなのでした。池尻町の停留場で電車をおりて、二百二十番地をさがしますと、愛子ちゃんのおうちは、ぞうさもなくわかりました。そのへんはいけがきでかこまれた、庭のひろい邸宅がならんでいる、さびしい町でしたが、そのいけがきにはさまれて高い板塀をめぐらした洋館の門に、野沢という表札が出ていたのでした。
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部屋の一方のすみに、厚い扉があった。捜す目当ての鍵が見つからないから、どうせ、ここもあかないものと思って見くびったものの、ものは試しと押してみたら、ぞうさもなくあいた。見ると、奥にうす暗い廊下があって、そのさきに急な回りばしごが下へと通じている。
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あるとき天皇は、その若郎子皇子とはそれぞれお腹ちがいのお兄上でいらっしゃる大山守命と大雀命のお二人をお召しになって、 「おまえたちは、子供は兄と弟とどちらがかわいいものと思うか」とお聞きになりました。大山守命は、 「それはだれでも兄のほうをかわいくおもいます」と、ぞうさもなくお答えになりました。しかしお年下の大雀命は、お父上がこんなお問いをおかけになるのは、わたしたち二人をおいて、弟の若郎子にお位をお譲りになりたいというおぼしめしに相違ないと、ちゃんと、天皇のお心持をおさとりになりました。
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そのほかの羽は、枕やふとんにいれる材料として、輸出されるのである。アホウドリが、海から飛びたつときは、風さえあれば、風に向かって、大きなつばさを左右にはっただけで、なんのぞうさもなく、ふわりと空中にうかびあがる。しかし、風のないときは、ほかの海鳥とおなじように、羽ばたきをつづけたり、足で水をかいて、水面を走るようなかっこうをして、飛びたつのである。
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その奥が板垣博士のほんとうの研究室で、そこには不幸なふたごのかたわれが、死体となってよこたわっているのである。二重めがねの怪人物はまた、折れまがった針金のようなもので、ガチャガチャとかぎあなをいじっていたが、これまたなんのぞうさもなく、ガチャリと音がしてじょうがはずれた。
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皇子はその曾婆加里にさまざまのお品物をおくだしになったうえ、 「それでは、そちが仕えているあの中津王を殺してまいれ」とお言いつけになりました。曾婆加里は、 「かしこまりました」と、ぞうさもなくおひき受けして飛んでかえり、王がかわやにおはいりになろうとするところを待ち受けて、一刺しに刺し殺してしまいました。水歯別王は、曾婆加里とごいっしょに、すぐに大和へ向かってお立ちになりました。
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