その空しい

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  • その空しさに眼をつぶっていると、何処からか冷々とした風が流れてきた。 豊島与志雄『悪夢』より引用
  • いや、むしろ、自分では、その空しさがどういうものかわかっていた。 ヴィドック/三宅一郎訳『ヴィドック回想録(4)』より引用
  • そしてその空しい穴を充たすべき新らしい偶像がまだうち立てられていないからだ。 豊島与志雄『偶像に就ての雑感』より引用
  • そしてその空しい場所に、日々のなまぬるい生活の滓が堆く積ってくる。 豊島与志雄『都会に於ける中流婦人の生活』より引用
  • その空しさに耐えかねた十之進が言った。 町田康『パンク侍、斬られて候』より引用
  • 彼はその空しい気持で、凡てに別れを告げ得る気がした。 豊島与志雄『反抗』より引用
  • 宙に浮かんだ円球上の蟻めいた数日が過ぎると、惟之はその空しい努力を放棄した。 中井英夫『とらんぷ譚』より引用
  • そして、その時はじめて、和子は、その青年もまたその空しさの中で生きていることに気づいたのだった。 柴田翔『されどわれらが日々──』より引用
  • そのむなしさを越えた彼方かなたにスクリーンの壁があって、私の凝視する目に果てしない波が写っていたのである。 島尾敏雄『魚雷艇学生』より引用
  • 私はそのむなしい作業の間じゅう、大人げないような羞恥心しゆうちしんと一種のうしろめたさとを感じていた。 福永武彦『海市』より引用
  • 然し、その中に心を浸していると、その空しさが一種の力強いものに感ぜられてきた。 豊島与志雄『反抗』より引用
  • 彼はその空しい寂莫のうちに甘え耽りながら、どれ位時間がたったか知らなかった。 豊島与志雄『愚かな一日』より引用
  • その空しさを埋めるために、ますます各アカデミア・サロンは増え続け大きくなっていく。 森瑤子『アイランド』より引用
  • その時ひどく高いところから暗黒が彼の上に落ちかかった、彼はその空しい淵にゆられて真空の空のあなたこなたに吹き迷わされる鳥の羽のようであった。 松村みね子『精』より引用
  • 葉子はその空しい哀感にひたりながら、重ねた両手の上に額を乗せて手欄によりかかったまま重い呼吸をしながらほろほろと泣き続けた。 有島武郎『或る女』より引用
  • ゆうべから父の姿が見えないので、案じぬいてはいたがそれでもまだ、どこからか、ひょっこり現れて、陣地へ帰って来るような気がしてならなかったが、今はその空しいことを知って声をあげて号泣した。 吉川英治『三国志』より引用
  • だが、はなばなしい成功の最初の陶酔がさめ、その空しさが身にしみたら、またもどってきてくれたまえ。 ルソー/桑原武夫訳『告白(下)』より引用
  • むなしかった、その空しさは残骸ざんがいの存在さえも許さぬきびしいもので、小気味よくもあった。 城山三郎『逃亡者』より引用
  • その空しい両腕で彼は枕にしがみついた。 豊島与志雄『蘇生』より引用
  • 私はまだしも Buddha のほうに、人生の栄華もその空しさも経験し老境にまで至って考えたことのほうにかれる。 神谷美恵子『神谷美恵子日記』より引用