すること能わざる
18 の例文
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これすなわち内に居て独立を得ざる者は外にありても独立すること能わざるの証拠なり。第三条 独立の気力なき者は人に依頼して悪事をなすことあり。
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苟も慎重なる態度を以て、誠心誠意、祖国の人文に貢献せんとの志あらん者は、決して神話学に対して、かくの如く冷淡なること能わざる可し。決して今日の状態に、満足すること能わざる可し。今日の如き状態は、到底久しく忍ぶ可からざるなり、到底久しく堪う可からざるなり。
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けだし要害の地を撰ぶにあらざれば、到底成功すること能わざればなり。而して、之を為さんとせば、まず金穀の用意なかるべからず。
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此の如き心の自由空想の自由のみはいかに暴悪なる政府の権力とても之を束縛すること能わず。人の命のあるかぎり自由は滅びざるなり。
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文章活ざれば意ありと雖も明白なり難く、脚色は意に適切ならんことを要す。適切ならざれば意充分に発達すること能わず。意は実相界の諸現象に在っては自然の法則に随って発達するものなれど、小説の現象中には其発達も得て論理に適わぬものなり。
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それを分析したら、怪訝が五分に厭嫌が五分であろう。秋水のかたり物に拍手した私は女の理解する人間であったのに、猪口の手を引いた私は、忽ち女の理解すること能わざる人間となったのである。私ははっと思って、一旦引いた手を又出した。
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然れども図書館の施設いかに普及すればとて、これを利用し得べき読書力、読書趣味の素養なきときは図書館ありともその任務を全うすること能わず。世人動もすれば米国人は読書好きなりと説けども、米国が最近二十余年来、読書趣味、図書館趣味の養成に全力を傾倒せる事実に想到する者少なし。
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今日の神話学は、未だ此形式の神婚神話を、解釈すること能わず。
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中には遂に一回もその花を見ざるの品種あり。学問上竹の品種を定むるに当り、その花最も必要なるに遂にこれに出会わざるが為めに、到底その品を確定すること能わざるものありて、現今本邦の竹類はその学問上の名称為めに大いに混乱せるものあるを見る。また竹は年所を経れば必ず花さくものなるかというにあえて必ずしもしかるに非らず。
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今この教師たる父母が、子供と共に一家内に眠食して、果たして恥ずるものなきか。余輩これを保証すること能わず。前夜の酒宴、深更に及びて、今朝の眠り、八時を過ぎ、床の内より子供を呼び起こして学校に行くを促すも、子供はその深切に感ずることなかるべし。
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すなわち廃藩置県を悦ばざる者なり、法律改定を好まざる者なり、新聞の発行を嫌う者なり、商売工業の変化を悪む者なり、廃刀を怒るものなり、断髪を悲しむ者なり。あるいはこの諸件を擯斥するに非ず、口にこれを称し、事にこれを行うといえども、その心事の模範、旧物を脱却すること能わざる者なり。これを方今、我が国内にある上下二流の党派という。
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天然神話説も、言語疾病説も、之を説明すること能わず。何となれば、言語の疾病が、全く異れる国語に於て、同一の現象を生ずるは、甚だ理解し難く、また各種の民族間に、此形式の説話の、発生の動機となる可かりし自然現象も、之を想像すること能わざればなり。
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永年封建制度を甘受し、士人の跋扈に任じていわゆる切捨御免の暴に遭うも、曾て抗争することをなさざりしゆえんのもの、まさにそれ考うることなきに座するのみ。それただ考うることを好まず、ゆえにおよそそのなすところ、浅薄にして十二分の処所に透徹すること能わず。
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未だ遠ざからずして、まず相近づかんとするは、事の順序を誤るものというべし。けだし各種の人がめいめいの地位にいて、その地位の利害におおわれ、ついに事柄の判断を誤るものは、他の地位の有様を詳にすること能わざるがゆえなり。その有様に密接すること、同居人が眠食をともにするが如くなるがゆえなり。
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僕は先天的にも後天的にも江戸っ児の資格を失いたる、東京育ちの書生なり。故に久保田君の芸術的並びに道徳的態度を悉理解すること能わず。然れども君の小説戯曲に敬意と愛とを有することは必しも人後に落ちざるべし。
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されば競技者の任務を言えば攻者の地に立つ時はなるべく廻了の数を多からしめんとし、防者の地に立つ時はなるべく敵の廻了の数を少からしめんとするにあり。廻了というは正方形を一周することなれどもその間には第一基第二基第三基等の関門あり各関門には番人あるをもって容易に通過すること能わざる也。走者ある事情のもとに通過の権利を失うを除外という。
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すべて中津の士族は他国に出ること少なく他藩人に交ること稀なるを以て、藩外の事情を知るの便なし。故に下等士族が教育を得てその気力を増し、心の底には常に上士を蔑視して憚るところなしといえども、その気力なるものはただ一藩内に養成したる気力にして、所謂世間見ずの田舎者なれば、他藩の例に傚てこれを実地に活用すること能わず。かつその仲間の教育なり年齢なり、また門閥なり、おおよそ一様同等にして抜群の巨魁なきがために、衆力を中心に集めて方向を一にするを得ず。
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