さくし
全て
形容詞
13 の例文
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眼下に見える街のならぶ屋根の上に影をおとしながらふたりを目がけて飛んできた。まわりの空気を切りさくかのような音、発着台の人びとに警告する大波のような金切り声を上げるサイレンの音が聞こえた。突然、そのひびきが数オクターヴ低くなって、飛行機械がごうと目の前を過ぎていった。
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彼女は食い飲み、騒ぎ、またあの辛いこととせられる一つのことさえを貪るように受用した。賑やかな、気のさくい、そしてすぐある欲求を充たしてくれる若い女として、彼女は学生や青年の性欲に飢えた人間にもてはやされるようになって、しかもそれで満足していた。疲れた肉体と掻き乱された魂と、低級な満足とを抱いて、この朝をいぎたなく眠っている時子の姿は、冬子にとっては浅ましい哀れさとある悲しい反省とを喚び起こした。
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メガネをかけている時は客観的で酷薄、メガネをはずしていると主観的で人情家。どちらが作為的《さくい てき》でない蒼崎橙子なのか、本人にもよくわからないらしい。情が薄かろうと厚かろうと、根っこの部分はロマンチスト。
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最近は部の先輩が横田でバイトしてますから海外直輸入の教科書を頼み込んで。美影さんと読むと美影さんの質問が無《む 》作為《さくい 》にシビアで羞恥プレイです。
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言われたヴィルヘルミナは、顎に手をやって考える。「ふむ」 元々、さほどの熱意を持って提案したわけではない、悠二へのプレッシャーを作為《さくい 》的に与え続ける行為の一環である。あっさりと前言を翻す。
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武神の転倒音が聞こえた。重金属の倒れる音は、まるで楽器を無《む 》作為《さくい 》に打ち鳴らしたような音だ。それを自分の成果と納得しながら、新庄は視線を落とす。
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彈けども、音なく、調なき、 ああ、それさへもことわりや、 百年の桐琴となり、 琴は今宵の土と朽つ。百年の土、二十とせの 憂をこめていたはれば、 ここにわが眼のうるほひを うつしてさくか夢の花。
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こちらの前進に対し、敵は全員迷わず銃を捨て、腰から短い剣を抜刀した。訓練が行き届いていると思いながら、ファーフナーは、無《む 》作為《さくい 》に正面の一人に激突した。半竜の身長は最低でもニメートル。
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源氏閣のうえから大鷲の羽風とともに姿をかくした咲耶子はどうしたろうか?それはきょうまでの日に、竹童、龍太郎、小文治の三人が八方くまなくそうさくしてみたけれど、その消息が得られなかったので、やむをえず伊那丸とのやくそくもあるので、いちじ断念して、参会したのであった。「まだ大講会は開かれませんか」 小文治が民部にはなしかける。
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「全集」という言葉を字義通りに解釈すれば、たとえば特定の作家の全集の場合、作品だけでなく日記、書簡、雑記やメモその他、著者の手になる文章すべてを収録する完全全集ととれるが、実際には、一般の読者にとって一定程度以上の意味のあるものだけを選んで編集したものを「全集」と名づける場合が多い。ところで、有限な「全集」に誰の何を入れ、幾巻をさくか、誰、何をいれないかという選択は、すぐれて編集的行為であり、このうえなく具体的な批評でもあり得るがあり、実際に池澤夏樹は個人編集というかたちで、『池澤夏樹=個人編集 世界文学全集』・『池澤夏樹=個人編集 日本文学全集』を河出書房新社より刊行した。また、坪内祐三は、みずからが編集した筑摩書房の「明治の文学」のシリーズで饗庭篁村に1巻を割いたことを特徴として自負していた。
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フィレスは事ここに至って、唯一の解決策を採った。この不《ふ 》倒の殺し屋を可能な限り遠くへと引き離し、 もはや余《よ 》命幾許もないヨーハンを『零時《じ 》迷子』の中に封じ、 宝具《ほうぐ 》の起こす無《む 》作為《さくい 》転移《てんい 》を利用して回復と緊急避難を同時に行う、 という解決策を。
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羽織、腹掛しやんとして草鞋つつかけ忍びあし。わかい男の忍びあし、 まがひパナマに日が射せば、 苦みばしつた横顔のことにつやつや蒼白く、 ほそく割いたる青竹に蝮挟みてなつかしく、 渚のほとり、草土手の曼珠沙華さくしたみちを、 九月午後、忍びあし。
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