けむだし
全て
名詞
18 の例文
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それから裏口に来てみると戸が締っていた。それで彼は首は開いていた屋根の煙出しから出て行った事を察した。静かに戸を開けて庭に出て、向うの森の方へできるだけ用心して進んだ。
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火馬の民と、どう関わっているのか。煙だしの穴の縁を染めていた金色の光が、ゆっくりと色を失っていく。辺りが青い闇に沈んだ頃、異変が起きた。
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温石をその近くに転がすと、妙は手探りで琴の隣に這っていき、すでに姉が用意してくれていた夜着の中に躰を滑りこませた。屋根の煙出しから覗く星空を見上げながら、妙は先の母の言葉を考えていた。母は、山妣に憧れているようだった。
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三方にベンチがついている。床の中央に小さなストーブがおかれ、屋根には煙出しのハッチがある。後部座席のうしろには、ひと山の荷物が積まれていた。
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妙は重い夜着の下で、顔をしかめた。囲炉裏の火も消えて暗くなった家の中に、煙出しからの月光が入ってきている。その細い光の筋を見ているうちに、奇妙な考えが頭に浮かんできた。
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秋晴れの青空の中に隣の西洋館の屋根の煙出しが並んで三本あった。両側の二本は黒く真中のは赤い色をしていた。
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しかしその船も、南品川の空を焦がす黒煙になにかを察知したのだろう。蒸気機関に火を入れたらしく、一本だけの煙出しから煙を吐き出しはじめた。つづけて一斉に、二本のマストに帆も張られた。
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あの子はまだ、この手で、たすけることができる。深く息を吸い、ヴァンは顔から手をおろして、煙だしの穴を見上げた。オーファンという、まだ若さの残るあの族長と、この氏族の人々の気もちはよくわかる。
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煙出しの窓からのぞくと思ったより近くに男の顔が行燈のあたりに浮んでみえた。内心、やはりと思う。
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湯を沸かして飲ませてくれ、一晩中、薪を焚いてくれたそうである。もちろん煙出しのないいろりであるから、煙はもうもうと部屋をこめる。ケリイさんは、煙にむせびながら、一晩中、その老婆と対坐して、夜を明かしたそうである。
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結界は、トロガイがやぶるまで、内側からはやぶられていなかった。と、いうことは、タンダは、あの煙出しの穴から外へでたとしか考えられない。
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のぞき穴のような小窓からは、落莫たる砂漠の遠景をとり入れ、石の竈のついた調理室も付設されていた。煙出しの穴も、なにか他の役目を兼ねているように見うけた。このダムビン・ラマは、キャラヴァン泣かせを働いていたようである。
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兄のノシルの家は、いかにも農家らしい、お椀をふせたようなかたちの泥壁の家である。南むきの戸のほかは窓もなく、屋根のいちばん高いところにあけた煙出しの穴から光がはいってくるだけだ。土間に編み藁を敷き、中央に囲炉裏がきってある。
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内部は木でピラミッド状の骨組みが組まれ、その上から土をかぶせて外壁としている。天井にはタマ・クティと呼ばれる煙出し穴があるが、明りとりの役割もあった。入口は必ず東向きに造られ、土まんじゅうから突き出ている。
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無論家の中で焚くのですが外部は皮で卷きてあるから平素は見えないけれども、今は了解に都合よきやうに見さしたのです。それからこの煙出し兼明取りの所はいろいろに色取るのです。此處は或は金を塗る人もあるし、それから黒くする人もあるし、青くする人もある。
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山形県上山地方の雪女は、雪の夜に老夫婦のもとを訪ね、囲炉裏の火にあたらせてもらうが、夜更けにまた旅に出ようとするので、翁が娘の手をとって押し止めようとすると、ぞっとするほど冷たい。と、見る間に娘は雪煙となって、煙出しから出ていったという。また、姑獲鳥との接点も持っており、吹雪の晩に子供を抱いて立ち、通る人間に子を抱いてくれと頼む話が伝えられる。
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しかし、今日はそういう気持ちにもならなかった。さっき、てるは煙出しを眺めて、何を考えていたのだろう。人の運命は変わるものだといった。
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