かかえて笑いだし
18 の例文
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やがてフォン・ホルストが腕の力をゆるめると、相手は回転しながら地上にほうりだされた。マムスが腹をかかえて笑いだし、ほかの野次馬もそれに声を合わせた。ゴルブは目がくらみながらもよろよろ立ちあがったが、完全に直立しないうちにフォン・ホルストが前回と同じようにその首をかかえ、ふたたび振り回してほうりだした。
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いかに雄弁な大臣でも、議員たちが目を覚ましそうな会議の終りごろをひとりじめにして、しゃべったところで、これほど内容に乏しいことを、これほど言葉を並べ立てて、いうことはできなかったであろう。モージロン氏が出ていくが早いか、ジュリヤンは腹をかかえて笑いだした。調子づいた自分の偽善ぶりにまかせて、彼は九ページにわたる手紙をレーナル氏に書き、聞いたばかりのことを残らず報告して、謙虚にも意見を求めた。
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「シ・ョ・パ・ン・ノ・タッ」 と田丘がくりかえした。呆気にとられていたタエコがいきなり腹をかかえて笑いだした。ショパンの夕をしょぱんのただなんて。
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このようにして祈ること十五分へついには立ち上がって手をふり足をふり、まさに精神病第一期の症状に近づきはじめた。これがふだんなら、私は腹をかかえて笑いだしていたろう。だが彼の態度には、笑ってすまされない何かが感じられた。
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恐怖から解放されたドロシーは、腹をかかえて笑いだした。チューブはシートンのまん前にあって、人間がふつうに走るよりいくぶん速く飛び、彼の体重が一方から一方へ投げだされるにつれて、右へ左へとまわるのだった。
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ナスターシヤは急に腹をかかえて笑いだした。彼女は笑い上戸で、人が笑わせるようなことをすると、声をたてずに、体じゅう揺すって、気分が悪くなるまで笑っているのである。
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彼の心の中では、おかしさと無念さか戦っているらしかったが、不意に、おかしさのほうが勝ったとみえて、彼は腹をかかえて笑いだした。
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そこにはちゃんと、 『金田一耕助』 という名前が、印刷物から切りぬいた大小ふぞろいの文字で張りあわせてあるではないか。金田一耕助はしばらく唖然として、じぶんの名前を見つめていたが、急にぷっと吹きだすと腹をかかえて笑いだした。
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佐七がおつに澄ましているから、辰と豆六はおかしくてたまらない。表へとびだすと腹をかかえて笑いだしたが、こちらは家のなか、風雲いまだまったくおさまったというわけではない。「おまえさん」 辰と豆六が出ていってから、よっぽどたってから、やっとお粂がむきなおった。
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この嘘はまずかった。三人とも腹をかかえて笑いだし、バルチテリウムの首にまたがっている調教師さえも、吹き出したのであった。彼らの笑いが納まると、わたしはいった。
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多くの人々が、おかしな話だと考えるであろう。彼女の運命を支配するのが底意地わるい神々だとしたら、腹をかかえて笑いだすにちがいない。一語一語に、無遠慮な高笑いがひびくことであろう。
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そしてホームズが部屋へはいってくるのを見た瞬間に、彼の顔いろから尾行が失敗に終ったのを、私は知った。彼の顔のなかでおかしさとくやしさが、あい争っているらしかったが、ついにおかしさのほうが勝を占めたとみえて、とつぜん腹をかかえて笑いだしたのである。「こいつばかりはなんとしてでも、警視庁の連中には知られたくないもんだね」と彼は自分の椅子に腰をおろしながら、大きな声でいった。
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こういうふうにして、即座にもちあがった相談がまとまると、ヴェジアンは腹をかかえて笑いだした。自分がオペラの踊り子になるなんて、いままで夢にも考えたことがなかったからだ。
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そのあとにどんなことが起こったかと心配するのはやめよう、皆の心には喜びがあふれ、過ぎし日の悲しさ辛さは残らず押し流されて、現在の楽しさだけが残ったのである。それをロマンティックなどというのは当たらない、このあとで皆がお腹をかかえて笑いだすようなことがもち上がり、おかげで一同はふたたび正気にたち返ることができた。ドアの陰にハンナがこえた七面鳥を前において、しくしく泣いている姿が発見されたのだ。
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こうした話をしていた商人のなかに、ピアチェンツァのアンブロジュオロと呼ばれる一人の若い商人がおりました。彼はベルナボが自分の妻に対する最後の讃辞を聞いて、腹をかかえて笑いだし、さもあざけるように、それでは伺うが、他の人々を全部さしおいて、皇帝はあなただけにこうした特権をあたえられたのですかと尋ねました。ベルナボはいささかむっとして、それは皇帝ではない、皇帝よりももっと力を持っておられる神が、お恵みを垂れ給うのだと言いました。
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ラスコーリニコフもいくらか無理に、作り笑いをしようとした。ところがポルフィーリイが、ラスコーリニコフも笑っているのを見て、いよいよおさえがきかなくなり、顔を真っ赤にして腹をかかえて笑いだしたとき、ついにラスコーリニコフの嫌悪はいっさいの警戒心を踏みこえてしまった。彼は笑いをやめ、むずかしい顔をして、相手が何かふくむところありげに絶えまない笑いをつづけているあいだ中、その顔から目をはなさずに憎悪をこめてにらみつづけていた。
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家で敏朗が、「くわけー」などと言うと、他の家族は意味がわからず、きょとんとしている。哲朗だけが腹をかかえて笑いだす。それは、「これ喰えよ」という意味の方言だった。
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