うちけさ
全て
動詞
18 の例文
(0.00 秒)
-
追撃の命令がこの際、正しいのだと即座に了解し、彼にかわって釈明できる人物がいないのは、癇の強い一面のある無影にとっては、なんともものたりなく、また腹だたしいことだった。と、無影は、一瞬、ある若者の顔だちを脳裏に描き、すぐにうちけした。そして、 「逆撃はない」 きっぱりと、断言してみせたのだった。
...
-
たしかに俺はそれをおそれている、このことはうちけすことのできないことである。
-
目に見えない人間なんて、あるはずがない。ぼくは、自分のみょうな考えをうちけして、そのままうちに帰った。ところが、ところがだよ。
...
-
そのことでは、うちけすことのできない貢献をしている。文学は、少くとも文学的天才の通力だけによる所産でないことが明らかになり、人類の歴史に数多い文学の傑作は、その当時の歴史の計らざる鏡としてますます愛すべきことを学んだ。
...
-
その女が君を尊敬していたと云ったら、『君の方をなお尊敬しているかも知れない』と云った。自分は『勿論』とも思ったが、それをうちけして友を安心させ、なおよろこばした。しかし自分は自分の空々しいのに気がとがめたので、その女のことをほめ、君が恋したのは尤もだと云い、自分も君の恋人と思わなければ心を動かされたかも知れないと云った。
...
-
-
ときとしてかれは師範学校の裏手を通る、寄宿舎には灯影が並んでおりおりわかやかな唱歌の声が聞こえる。「官費でいいから学校へゆきたい」 こうも考える、だがかれはすぐそれをうちけす。かれの目の前に伯父覚平の老顔がありありと見えるのである。
...
-
重要な会議の席についたチュン・ウー・チェンは、口のなかで何やら挨拶しながら先輩たちに一礼したが、軍服の胸のポケットから食べかけのハム・サンドが恥ずかしそうに姿を見せたので、豪胆で鳴らす偉丈夫カールセン中将もおどろいた。彼の視線に気づいた新任の総参謀長は、相手の懸念をうちけすように悠然と笑ってみせた。
...
-
おかあさんに心配させたくなかったからです。しかし、和太郎さんがいくらうちけしてもむだでありました。というのは、和太郎さんのふところから、大きなふなと、げんごろう虫と、かめの子が出てきたからであります。
...
-
路銀も多少たまったし、ふたりはシェクでの成果に満足していた。ときどきわいてくる不吉な思いをうちけしながら、祭りの終わりとともに、一行はシェクを発った。
...
-
門番小屋は黒花崗岩の廃墟で、椽もむきだしになっていたが、その正面にみえる新しい建物こそは、まだ完成してはいないが、故チャールズ卿が南アフリカからもち帰った巨万の富で、第一に着手した記念物なのである。門をはいると並木路で、馬車はふたたび落葉に轍の音をうちけされ、両側から大きな老樹が枝を張って、うす暗くトンネルをなしていた。ヘンリー卿ははるかかなたの、くらいトンネルの終端に幽霊のようにかすかに見えている館を見やって身ぶるいした。
...
-
一度は、漠然とではあれ、警戒心が頭にひらめいたものか、片耳は頭をめぐらして、裏返しになった橇を見かえり、仲間の犬を見、自分を呼んでいる二人の人間を見かえった。しかしその頭の中にどういう考えができていたにしても、それは牝狼にうちけされてしまった、牝狼が進みでて、ほんのちょっとの間鼻をつきあわせたが、やがて片耳が新たに前進する前に、また例のはじらいの後退をはじめた。その間にビルは鉄砲のことを考えていた。
...
-
それでは、事の順序がぎゃくというものだ。久助君は、じぶんのばかげた考えをうちけした。にもかかわらず、久助君には、砲術家太郎左衛門と、この少年太郎左衛門が同一人物のように思えたのである。
...
-
政府はうちけしに大童でしたよ。パリで金をつかう連中は、みんな自分の国の失業や自分の会社のストライキなんか忘れるために来ているんですからね。
...
-
「それでは、おまえさまは、愚僧について歩いてもらいたいとおっしゃるのか」 「勘違いするな」 俺はなぜかドキッとし、あわてて相手の言葉をうちけした。
-
そんななかで松江はふと、けさ家を出かけるときの母の顔を思いうかべた。しゅんかん、黒いかげのさしたような不安にとらわれたが、そんなはずはないのだ、と、つよくうちけした。しかし、頭痛がするとて顔をしかめ、手ぬぐいできつくきつくはちまきをした、そのむすび目のところのひたいによっていた、もりあがったしわを思いだすと、なんとなくはらいきれぬ不安がせまってきた。
...
-
その腕の質量から発する加重を、ガンダムの機体は軽く腰をめぐらすことでうちけして、よろめかなかった。
-
カー・ダルベンを去ることを思うと胸がいたんだが、それよりも、一刻も早く旅に出たい気持ちはさらに強く、いっそう胸が苦しかった。エイロヌイへのあこがれと、今までしばしばひたかくし、うちけしさえしてきたエイロヌイへの愛が、今は洪水のようにふくれあがり、タランを旅へと駆りたてるのだった。夜明けはまだ遠かったが、タランはおきあがり、銀のたてがみを持つ灰色の牡馬メリンラスに鞍をおいた。
...