いっぱいきげん
全て
名詞
18 の例文
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一杯機嫌でやつて來るのが多くつてねえ、すつかり不貞腐れてゐるんだ。だからいはんこつちやない、土地のものをナメやがつて選擧なんかに勝ててたまるもんかい、ざまア見ろつて惡口雜言さ。
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肥った、色のドス黒いところに赤味を帯びた、それで背はあんまり高くはない男が、小姓に刀を持たせて、よい機嫌で、そこへ現われて来て、家来を相手の兵馬の稽古ぶりを、無遠慮にながめながら、ニタニタ笑っているのを見ました。御機嫌はいいに違いないが、それは一杯機嫌であることもたしかです。稽古が済んでから、兵馬は、この「新お代官」に引合わせられる。
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銃声でアメ公連中が騒ぎたてたら、ポリが跳びこんできても収拾がつかねえ。騒ぎがおさまった頃には、俺はどこか遠いところで一杯機嫌さ。さあ、俺の言う通りに立つんだ。
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戸口を通り過ぎる時に、ふたりは無関心な眼で、ちらとわたしとキーソチカの方を見て行きました。わたしには、ふたりとも一杯機嫌でいるように見えました。
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三次嫌な奴と舌打ちした。遊び人は一杯機嫌で茶を持って来たお絹の手をグイと掴んで引き寄せ様とする。「アレッ」とお絹が振り放して身を引いた。
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監督は一抱えもありそうな書類をそこに持って出た。一杯機嫌になったらしい小作人たちが挨拶を残して思い思いに帰ってゆく気配が事務所の方でしていた。冷え切った山の中の秋の夜の静まり返った空気の中を、その人たちの跫音がだんだん遠ざかって行った。
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それでも、このあいだは、八十歳を過ぎたお袋を招んで、親孝行のマネゴトをした。お袋や女房や妹に囲まれて一杯機嫌のわたしを、仲居さんたちは何者と思ったことだろう?
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「いや、司祭さん、わしだって知ってますよ、ガナーシュと言ったら、ガナーシュじゃ」 一同は立ちあがって客間の方に行った。それから一杯機嫌の百姓たちのなかにちょっと仲間入りした。やがて客は暇を告げて帰っていった。
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と一杯機嫌で、右守の司は妻のテーナ姫と共に酒酌み交しながら歌つて居る。テーナ姫は気もさえざえしく笑を満面に湛へて、夫に盃をさしながら節面白く歌ひ始めた。
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ところがひどいことには、家に帰ったその足で祖父は祖母と母とを居間に招集し、ことの次第をすべてばらしてしまった。その晩、一杯機嫌で戻ったふくちゃんがどんなことになったかは、想像に難くない。家族が寝静まった夜遅く、僕は寝床を脱け出して廊下を忍び歩き、ふくちゃんの部屋を訪ねた。
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そこへ一杯機嫌で帰つて来たのは、キャプテンのチルテルであつた。
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あいにく、彼は私が行くというので、それを見越して先に一杯きこしめしていた。一杯きげんでいい心持になり、とても物など思い出せる仕儀ではなかった。私は、わずかに人のよさそうな細君から、彼がスモレットの助手だということを聞きえただけであった。
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どの家でも祝宴のさいちゅうだ。窓ごとに、着飾った会食者たちの姿が見え、一杯機嫌の叫び声が聞こえる。百姓たちは上着を脱ぎ、とびきり上等の葡萄酒をあおっている。
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橙背広のこの紳士は、通り掛りの一杯機嫌の素見客でも何でもない。冷かし数の子の数には漏れず、格子から降るという長い煙草に縁のある、煙草の脂留、新発明螺旋仕懸ニッケル製の、巻莨の吸口を売る、気軽な人物。
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今でも覚えていますが、わたしはまるで盲目のように、海も、空も、自分がその中に坐っている四阿さえも見ませんでした。そしてわたしにはもう、この世界全体がただ、一杯機嫌のわたしの頭の中をさまよっている思想と、どこか下の方で単調な響きをたてている、見えざる力とからだけ成り立っているように思われていました。が、やがてうとうとしかけると、今度は、音を立てているのは海ではなく自分の思想であるように、全世界がただわたしひとりから成り立っているように思われて来ました。
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「何なさる人だろうネ」 「愛想が悪いのは、大金持の宝石商で、人を警戒してるのかも知れないわよ」 「教師のようにも見えるがな」 「シザルパン」のステーキ定食は、不味くはなかったけれど、これがこの度最初のフランス料理の晩飯かと思うとがっかりであった。早目に切り上げて、部屋へ帰って来、一杯機嫌で聞いてみると、パリに住んで美術出版の仕事をしていると印度人は言った。印度美術、ルネッサンス絵画、日本の美術、東京へもよく行く。
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でっぷり太ったこの男のあから顔と短い呼吸は、自分もぶくぶく太って息切れがする夫人を喜ばしたのである。デザートのころになると、お坊さんは一杯機嫌の司祭らしく活気づいてきた。愉快な食事のあとによくあるあの遠慮なさを発揮した。
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