あの忌わしい

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  • 自分の体がヴァレリウスの腕に抱かれる光景を考えただけで、あの忌わしい嫌悪を肌に感じるよりはいっそ、死の辛酸をなめたほうがいいとさえ思うのだ。 R・E・ハワード『征服王コナン』より引用
  • 屋根裏の研究室に入ると、病的なすみれ色を発して不気味に輝いているあの忌わしい機械を、わたしはじっくりと観察した。 ラヴクラフト全集4『05 「彼方より」』より引用
  • むしろ、その奇異ふしぎな対象から判断して、事実はその下に、美しい人知れないきずがあって、それを覆うているこぶというのが、あの忌わしい痕のように考えられもするので、もしそうだとすると、ヴィデには二つの影があらねばならなくなるのだった。 小栗虫太郎『潜航艇「鷹の城」』より引用
  • 何度、あの忌わしい手紙を、読み返したことだろう。 西村京太郎『夜が待っている』より引用
  • 故郷くにのこと、両親や同年輩の誰彼のことなどを話し合った末に、私はあのいまわしい氷滑りを思いだして、子供の頃二人で愛し合っていたローレのことも尋ねてみた。 シュトルム/高橋義孝訳『みずうみ』より引用
  • すると、決って、あの忌わしい記憶の一コマが、とって代るように浮かびあがってくるのだ。 夏樹静子『アリバイの彼方に』より引用
  • 門田は、そこには誰の姿も眼につかないので、あのいまわしい殺害死体、二つのベッドの間から一方のベッドの下に押しこまれて隠されている半裸の白い肉塊を想像し、膝頭を慄わせながらも、責任上、勇を鼓してベッドの端を回って床に眼を落した。 松本清張『黒の回廊』より引用
  • 心で拒否しながら、体で欲しい、と思ったのは、早く夫の逞しいもので思いっきり貫いてもらえば、浄智寺の崖下のあのいまわしい光景を忘れてしまえるかもしれない、と思ったからである。 南里征典『鎌倉誘惑夫人』より引用
  • 唇の間から洩れる紫煙が静かに中空を漂うのを眼で追いながら、対応策には可能な限り万全の手を打ってゆくとして、悪夢が確実に現実となるまでは、戦争のあの忌わしい想い出を再び記憶の中に呼び覚まさせるのは自分だけに留めておこう、と考えていた。 中村正『元首の謀叛』より引用
  • そのとき、彼は満ち足りたすがすがしい気分で劇場からもどって来ると、妻へのみやげの大きななしを持って客間へはいって行ったが、妻の姿はそこになく、驚いたことには、書斎にも見あたらず、ようやく寝室で見つけたものの、その手にはいっさいを暴露した、あの忌わしい手紙を握っていたのである。 トルストイ/木村浩訳『アンナ・カレーニナ』より引用
  • 大久保清が婦女暴行、殺人、果ては死体を埋めたあの忌わしい犯罪と、その背景となった生いたちとは、いったいどのようなものであったのか。 大塚公子『死刑囚の最後の瞬間』より引用
  • 朱鷺子はあの忌わしい事件を公にされたくないと考えているようだし、どのみち、自分はあの時、暴力傷害事件を引き起こしたので、かえって不利になるような気がして、葉山は凶器については、もう少し沈黙すべきだと思った。 南里征典『赤坂哀愁夫人』より引用
  • あの忌わしい、卑劣なハイチの話はもうたくさんだ! ストウ/山屋三郎・大久保博訳『アンクル・トムズ・ケビン(下)』より引用
  • しかしあの方は、その夜現れた死霊については、誰にも話さず、おそろしい罪人のことなど露知らないといったそぶりでしたが、心の中ではあの忌わしい人殺しに復讐をしてやって、この悩み多い世から消えてしまおうと、ひそかに覚悟なさった。 アプレイウス/呉茂一・国原吉之助訳『黄金のロバ』より引用
  • 幹線道路がインスマスを避けて内陸部へとむかう交差点に近づいたとき、エドワードがあの忌わしい土地に通じる、わびしい海沿いの道路に車をむけるのではないかと、わたしはいささか不安に思った。 ラヴクラフト全集3『06 「戸口にあらわれたもの」』より引用
  • パフニュスは、あのいまわしい夢をつぐない、汚れた思いから逃げようとして、今はけがれたものとなっている自分の独房を去り、砂漠の奥で難行苦行に努め、異常な業を修め、これまで無かったような作業にしたがおうと決心した。 フランス/岡野馨訳『舞姫タイス』より引用
  • ガグどもが長く眠りこけ、そしてガーストどもが洞窟内での行為をおえてすぐもどってきたりすれば、あの忌わしい悪辣あくらつな生物に体臭をかぎとられ、その場合、ガグに喰われたほうがまだしもましなことになるだろう。 ラヴクラフト全集6『09 「未知なるカダスを夢に求めて」』より引用
  • 不快感にさいなまれ、吐き気に苦しめられていたが、それでもサンチャは、いつでも血なまぐさい光景に出会ったときに経験する、あの忌わしいうっとりするような感覚にとらわれていた。 R・E・ハワード『風雲児コナン』より引用
  • 煙突の煉瓦、地下室の石、そこかしこに散乱する鉱物や金属、あの忌わしい井戸の縁がのこっているばかりだった。 ラヴクラフト全集4『01 「宇宙からの色」』より引用
  • それは、かりにもし、ディーンの家の血統に流れているあのいまわしい業病ごうびょうの筋がなく、また、かれがカナダを何年か流浪していた間に、むちゃ酒をあおったたたりからくる、あの発作さえなかったら、よもやあんな危険な神経状態におちいらなくてもすんだろう、ということだ。 カー/平井圭一訳『黒死荘殺人事件』より引用
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